ArcGIS for Server¶
はじめに¶
ArcGIS for Serverは、GISの諸機能をWebサービスとして提供するサーバーアプリケーションです。また、データをRDBMS(SQL Server、Oracle、DB2
、PostgreSQL)に格納することができます。
製品構成(エディション)¶
ArcGIS for Serverは、使用可能な機能の数によって、Basic、Standard、Advancedの3つ分かれているほか、リソースの規模によってWorkgroupとEnterpriseに分かれているため、かなり把握しづらい製品構成となっています。
Workgroupは、Windows OSに限られ、利用可能なRDBMSはSQL Server Expressに限られ、同時接続数および利用可能コア数に制限があります。
ライセンス種類、機能と規模¶
機能¶
Basicの制約は次のとおり。
- エクステンションが使えない
- 参照専用のフィーチャサービスのみ公開可能
- ジオプロセシング不可
Standardの制約は次のとおり
- Spatial Analyst、3D Analyst、Portal for ArcGIS対応不可
規模¶
Workgroup版の制約は次のとおり。
ArcSDEジオデータベースへの最大同時接続数 | 10 | |
ArcSDEジオデータベースの格納容量 | 10GB | SQL Server Express版の制約 |
利用できる最大コア数 | 4コア | |
ArcGIS for Serverコンポーネント分散配置 | 不可 |
なお、SQL Server Expressの制約として、同時利用できる最大コアが1、メモリ最大容量1GB、データベースのサイズ上限が10GB
インストール¶
推奨はWindows Serverですが、開発・検証用にWindows 7、8.1、10でも動作します。
また、LinuxでもRHEL 6、7で動作します。
利用方法¶
スタートアップガイドによる利用方法の習得¶
ESRIジャパン(株)から保守契約ユーザーに提供される「ArcGIS for Serverスタートアップガイド」が第一歩となります。
スタートアップガイドでは、ArcMap(ArcGIS for Desktopに含まれるツール)を使って作成したマップドキュメントをサーバーで公開する方法が解説されています。
スタートアップガイドで作成するのは、東京都の図書館の位置(緯度・経度)および東京都の郵便局の位置(住所)です。ガイドでは両方を作成して公開する手順で紹介しています。また、サーバーで公開する形式として参照用マップサービスおよび編集用マップサービスの2通りを紹介しています。編集用マップサービスの公開には、エンタープライズ・ジオデータベース(リレーショナルデータベース上に作成)が必要です。
そのため、ArcGIS for Serverを初めて扱う身には混乱することがあるので、ここでは1つずつ別々に作成・公開していきます。
東京図書館マップ作成(参照用)の流れ¶
- スタートアップガイドの入手
- ArcMapツールを起動し、新規ファイルジオデータベース(Tokyodata.gdb)を作成
- 東京都の図書館の位置(緯度・経度)を記載したExcelファイル(図書館サンプル.xls)をスタートアップガイドのアーカイブから取り出し
- データの追加で、図書館サンプル.xlsを追加、XYデータの表示から座標を取り込みイベントデータを作成
- イベントデータをファイルジオデータベースにエクスポート(フィーチャー名:library)
- シンボルを割り当て、フィールドを設定(表示するフィールドを限定およびエイリアス名を割り当て)
- マップドキュメントとして保存(TokyoLibrary.mxd)
- サービスの保存先ディレクトリをArcGIS for Server実行アカウントが読み書き可能なことを確認(設定)
スタートアップガイドでは、ArcMapで作業した場所と同じパスが記載されているのですが、これはArcGIS for Serverが稼動しているマシン上のことと思われます。
→ ArcGIS for Server稼動マシン上にC:\arcgisserverがあるので、この下にArcProjectsを作成し、そこにデータを保存することとする
右クリックしプロパティ > セキュリティでarcgisユーザーに読み書き権を付与 - ArcMapで作成したマップドキュメントとファイルジオデータベースをここへコピー
- ArcMapからArcGIS for Serverへの管理者接続設定(ArcGIS for Serverインストールガイドを見て作業)
ArcMapのカタログウィンドウから、[GIS Servers] > [ArcGIS Serverサーバーの追加] > [GISサーバーを管理する]
サーバーのURLは、http://<ArcGIS for Serverマシン>:6080/arcgis
認証は、ArcGIS Server Managerでサイト作成時のプライマリサイト管理者のアカウント
[GIS Servers]の下に、[arcgis on <サーバー名>_6080(管理)]が生成される - [GIS Servers] > [arcgis on <サーバー名>_6080(管理)] を右クリック、[サーバープロパティ]をクリック(注:プロパティと混同しないように)
- [データストア]タブを選択し、登録済みのフォルダー欄の右脇の[+]をクリック
名前欄にはTokyoProject、公開者のフォルダーにはArcMapで作成したファイルジオデータベースとマップドキュメントのあるフォルダーを指定
サーバーフォルダーパスの[公開者フォルダーパスと同じ]のチェックを外し、C:\arcgisserver\ArcProjectsを入力し、[OK]ボタンを押す